溶血性貧血と鍼漢方

みなさんこんにちは。
春のにおいがしますね。と言ってたら朝車の上に雪がうっすら…。
雪解けの土のにおいがすると、気分が明るくなります。決して冬が嫌いなわけではないですが、やっぱり春っていいです。
高圧洗浄機を買いました。ものすごくいい天気の日に意気揚々とセッティングしたらホースと電源が数十センチ足りませんでした。
次の日は大雨でした…。

さて…!(汗)


まぁ…大きいお顔だこと…(笑)

今日はビッグな(?)ご紹介。N市マニィちゃん、MIX、体重60㎏!!! 素敵女子です!
顔はなかなかですが(失礼)、性格は本当~に超がつくほどやさしくていつもしっぽを振りながら寄ってくる子です。
この子は症状がとても重かったです。ほかの病院で「溶結性貧血(免疫介在性の疑い)」と診断されました。
ピーク時、貧血の指標であるヘマトクリット値は最低10%くらいまで落ちました。正常は40%前後です。
溶結性貧血は何らかの原因で赤血球が壊れるのです。貧血が進むと息切れや多臓器不全などを起こして最悪の場合死に至ります。
原因は不明でしたが、山に遊びに行ってからそうなったようなので、何か引き金となる事柄があったのかもしれません。
すでにステロイドを中心とした西洋薬がしっかりと処方されていました。しかしながらだいぶ弱っています。この病気はあるところまで悪くなり続けるので仕方のないことではあるのですが…。

飼主さんはそのメインの治療を行いつつ、何か他にできることがないかとお探しでした。
というのは、私の初診時、マニィちゃんはとっても体力が落ちていて口の中は貧血で真っ白、体は冷え切っていて、部分的にはほてっていて、よく眠れていないようでした。
中獣医学的な診断『証』は『脾陽虚(気虚を含む)』、『血虚』とくに『心血虚』、部分的には『実証』である『血熱』もあったと思います。陽虚(気虚)と血虚は虚証、しかし矛盾しているようですが実証である血熱も混ざったとても複雑な状態です。病態は最初は血熱だったと思います。しかし時間が経つにつれ『病邪』は体の深くに侵入していきます。ですので実証から虚証に移り変わる状態だったと思われます。血虚とくに心血虚などがあると、精神状態である『神(しん)』が不安定になり眠れなくなったりします。

溶結性貧血はとても重篤な病気です。なによりまず西洋薬メインで急性症状に対応した方がよいと思います。
しかしながらそのメインの治療を行いつつ、体力の増強、食欲の維持、安眠、ストレスの軽減、冷えやほてりの改善を目標に鍼漢方治療をするのはとてもとても良いと思っています。

初回はごく軽い鍼を行いました。目標はとにかく食欲を維持すること。そのためには胃腸の冷えを取ること、よく眠れるようにすること。そして悪い熱『血熱』を『瀉す』こと。
人間でもそうですが、栄養を取らず眠れず、だったら病気はよくなりませんよね。
初日で驚いたのは、鍼をした5分から10分後くらいからでしょうか。いびきをかきながら眠り始めたのです。よほど疲れてつらかったのでしょうね。さらに数分続けると、今度は眠りながら手足をパタパタと動かして、ふんふん鳴き声を出していました。ケイレンではなく、とても気持ちよさそうに熟睡レベルで寝てくれたので、おそらく良い夢を見ていたのではないでしょうか。飼主さんと一緒に喜んだのを覚えています。大きい子は体勢の維持が難しく、しかもこの子は鍼中に爆睡(!?)するので横になったまま、診察室はこの子には小さすぎるので待合室を使いました。
やはり偏ることなく全身にまんべんなく鍼をします。

 

ここから数週間にわたり、ほかの病院の先生の治療を受けながら鍼や漢方の治療を続けました。多い時で鍼は週二回。
ゆっくり改善が見られたのですが、途中原因不明のむくみや腹水が出てきてしまい、立てない動けない状態になりました。状態は上がったり下がったりで、飼主さんにとっては本当につらい大変な数週間だったと思います。鍼の方法、漢方薬の種類を何種類も変えました。上の写真は7月半ばころ、腹水やむくみが消え始めているころのものです。顔つきはだいぶ和らいでいます。3枚の写真の真ん中は押さえているわけではなく、なでてもらっているんですよ。

7月末、そろそろ長岡の花火だねという頃、腹水も消え、動けるようになって、このころから少しだけ走れるようになりました。マニィちゃんの表情も明るくなり、機嫌も食欲も眠りの質もとってもよくなりました。
鍼治療の間隔は週二回から二週間に一回、1か月に一回と徐々に減らしながら、同時に慎重に西洋薬も減らしていきながら、血液検査を見つつ治療を軽くしていきました。

幸いマニィちゃんは今のところ再発もなく、元気いっぱい、よい状態を維持しています。
時々冷えておなかを壊すので、特に胃腸を温める漢方薬を常用して、現在西洋薬は胃腸薬の頓服以外は終了することができました。

マニィちゃんは強い子でした。西洋の治療と東洋の治療をフルに使って、あとはマニィちゃんの体力と飼主さんの愛に支えられて、本当に良い結果となりました。
飼主さんも喜んでいらっしゃいましたし、何より自分も、この病院のスタッフもとても喜びました。

今後はおなかを冷やさず、病気を再発させないように数か月に1回のペースで鍼や漢方薬で『養生』しています。
マニィちゃん、ますます元気になりましょう~!

追記
本文を書いたのは半月ほど前なのですが、下の写真は本日のマニィちゃんです。鍼にいらっしゃいました。
肝心の鍼が見えませんね。動画もとったのですが、ファイルサイズが大きすぎてアップできませんでした。
今日は午前中山で遊んできたらしく、リラックスして眠いみたいです。かわいいですね♪ 血液検査も問題なし! 今日もいい子でした!