診療方法について
当院の東洋医学の診断方法は以下の通りです。
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望診(ぼうしん:視覚)
様子を目で見ます。
表情や毛づや、歩き方、舌の色や形(舌診)なども。 -
聞診(ぶんしん:聴嗅)
声の大きさや息づかいなど聞いたり、匂いを嗅いだりします。
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問診(もんしん:主訴・経過)
調子の悪いところ、普段の環境、食事、性格のことなど、症状には直接関係ないような事柄も含め、多くの質問をします。
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切診(せっしん:触覚)
体の隅々を触り、たとえば脈の強弱(脈診)やお腹の硬さなどを診ます。
治療法について
東洋医学のうち漢方(中獣医学)の治療法
(1)施術をする:「鍼」「灸」「推拿(すいな)」 (2)薬を処方する:「漢方薬」があります。
- 鍼
- 細い鍼を経穴(ツボ)に刺入し経絡に働きかけます。
- 灸
- 直接ふれない「棒灸」を用いるため火傷の心配はありません。
- 経絡マッサージ
- 症状に合わせマッサージ部位をアドバイスします。
- 推拿(すいな)
- ツボや経路を手で刺激します。
当院の東洋医学による治療は、主に「鍼」「漢方薬」を用いて行います。また、マッサージやシンプルな食事のアドバイスも行えます。
- 漢方薬
- 生薬を数種類組み合わせた薬を飲むことで治療します。
- 養生
- 食事や運動などの改善に取り組みます。
鍼治療について
鍼治療と気血水
鍼治療は体表の経穴(ツボ)を細い鍼で刺激して行われます。経穴には密集した神経終末と肥満細胞、細い動脈やリンパ管があり、多くの研究で鍼による経穴への刺激はβエンドルフィン、セロトニン、などの鎮痛物質や精神を安定させる物質を放出することがわかっています。鍼治療はこれらの働きにより痛みを取り、心身のバランスを整えます。
古代の人は、健康が気(き)の状態に左右されることを発見しました。気は目に見えず、体の内や外を覆うように巡る生命力と生体エネルギーです。気の流れがウイルスや病原菌、ストレスなど何らかの病理的な要因によってさえぎられたとき、体のバランスが失われ、その結果として病気が起こると考えられています。
血(けつ)は現代では血液に近いものと考えられており、体の隅々、被毛まで栄養を与える働きを持つと言われています。気血の流れが妨害されている、または気血がスムースに流れないと痛みが起こります。
水(すい)は津液(しんえき)ともいい、血液以外の水分と考えられています。停滞するとむくみ、だるさ、消化不良などが起こり、このような状態を水毒と言います。
鍼刺激は気血水の停滞を解消し、気の流れを自由にして自然治癒力を引き出します。心身のバランスが良くなったときに体の調子が徐々にもとに戻っていくという考え方なのです。
鍼治療の効果
鎮痛、解熱、胃腸運動調節、抗炎症、免疫調節、ホルモン調節、血行促進、精神安定など体内の乱れたバランスを整えることで、体の不調を徐々に改善していきます。
施術の方法
白鍼:数分〜15分くらい、とても細い針を経穴に刺入します。
※一般的な注射で用いる針よりかなり細い(髪くらい)です。
水鍼:ビタミン剤を経穴に注射し、効果を持続させます。
電気鍼:15〜60分くらい、鍼に微弱電流を流します。
症状により数日から2週間に1回程度を目安に行います。体調が安定したら1〜2ヶ月に1回程度行うとよいでしょう。
適応症状
たくさんの疾患に効果的です。関節疾患、椎間板疾患などによる体の痛み、慢性胃腸症状、咳、加齢に伴う諸症状、尿もれ、腎疾患、滋養強壮、体調維持、免疫疾患、アレルギー、病気の予防、老化予防、アンチエイジング、など。
マッサージ
マッサージは鍼治療の補助として、あるいは鍼治療ができないときにとても有効です。マッサージはエネルギーの停滞を解消し、筋肉のこわばりを軽減し、良いエネルギーを動物に移すことができます。やり方については気軽にご相談ください。
漢方薬について
漢方薬とは
植物(草の根や木の皮)や、動物、貝殻、鉱物など自然界に存在する天然の物でかつある効果をもったものを『生薬』と呼びます。漢方薬とは、生薬を数種類から十数種類組み合わせたお薬です。東洋医学の診断方法から症状や体質をみて、不調の原因を考えます。それは「証」と呼ばれ、「証」の診断をもとに、その子に適した漢方薬を選んでいきます。ドクダミやハトムギなど健康茶として親しまれている薬草は『民間薬』と呼び、漢方薬とは区別しています。一般的に苦くて飲みにくいというイメージがありますが、いろいろ工夫ができますし、錠剤もあります。
漢方薬の副作用
『漢方薬は安全で副作用がない』と思われている方も多いようですが、漢方薬にも副作用があります。ただし、西洋薬と比べれば程度も軽く頻度も少ない場合がほとんどです。
一般に人が食べる蕎麦や牛乳にアレルギーが出るのと同じくらいの頻度で、漢方薬に含まれる生薬が体質に合わないこともあります。吐き気や下痢、食欲減退や元気がなくなるといった症状が出たり、いつもと様子が異なることがあれば、すぐにご相談ください。
漢方薬と西洋薬の違い
ほとんどが単一または少数の成分で出来ているので1つの異常に対してピンポイントで作用します。化学的に合成することができます。
原因が分かっている病気に良く効きます
複数の自然由来の成分で出来ているので
複雑な病態に幅広く作用します。
さまざまな症状に対応できます
(慢性の疾患、病気と判断されない症状、
原因の分からない病気、等)
病名に対して処方されるのではなく、
体質と症状に対して処方されます
東洋医学による治療例
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case1
新潟県小千谷市
ウッディちゃん / 18歳 / ビーグル
主訴:後肢虚弱、夜鳴き、咳経過:17歳を過ぎたころから慢性の咳と昼夜逆転のため夜鳴き。常にくるくると回って咳をしているため家族は眠れません。ウッディちゃんのことはかわいいが、眠れないことが徐々に家族のストレスに。何よりもウッディちゃんが辛そうでした。
結果:鍼治療を2週間に1回。漢方薬2種類を使用して咳が減って夜中眠れるように。後肢の弱りは年齢とともに進みましたが、本人は痛みなどなくいつも穏やかな顔をしていました。19歳間近で穏やかに家族に見守られながら天国へ。お空に行く直前まで食べたり飲んだりできていました。 -
case2
新潟県見附市
ブーちゃん / 13歳
ジャックラッセルテリア
主訴:低血糖、腎不全経過:健康診断で偶然低血糖が発見され、精密検査の結果、膵臓の腫瘍が疑われました。手術等も検討される中で西洋薬のステロイドを用いた内科療法を行いながら、月に1~2回の鍼と漢方薬を取り入れると、症状のない元気な状態が数年続きました。
結果:ブーちゃんは数年にわたってとても元気も機嫌も良くたくさん食べてくれて良いQOL(生活の質)を保つことができました。西洋の治療と東洋の治療がちょうどよく穏やかに効いてくれた結果だと思っています。 -
case3
新潟県長岡市
ココちゃん / 14歳
ウェルシュコーギー
主訴:後肢虚弱、皮膚炎経過:年齢とともに徐々に後肢が弱り、時々皮膚炎が悪化していました。動けないストレスなどから機嫌が悪くなることがしばしばありました。
結果:鍼治療を月1~2回、漢方薬を飲んでずいぶん顔つきが柔らかく可愛くなりました。皮膚炎はとてもひどい時だけ一般的な西洋薬を使いました。