8月の予定と猫の鍼治療と漢方

みなさんこんにちは。
蒸し暑い日が続いていますが、体調いかがでしょうか。7月の頭まで発熱、胃腸炎、発作、けいれん、とにかく「湿」「熱」と思われる症状の子が本当にたくさん来られました。
やっと最近の病院は少し落ち着いてきましたが、とにかく蒸し暑いですね。こんなに湿度ってありましたっけ。

さて、8月の主にお盆の予定です。

8月11日(日) 休診
8月12日(月祝) 休診
8月13日(火)~15日(木) お盆休み

となっております。
今年はお正月並みの並びですね。ご不便をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。お薬の残量等々よくご確認いただけたらと思います。

さて、今日は珍しく猫の鍼と漢方。
まだまだ猫の患者さんは少ないですが、飼い主さんよりご紹介の許可をいただきましたのでご紹介いたします。

Nちゃん、アメリカンショートヘアー、初診時は4歳、今は6歳ちょっとでしょうか。ちょっと緊張してるかな…?汗
他院さんにて慢性腎臓病の診断。腎臓を守るお薬、胃腸薬、自宅皮下輸液などで治療しています。嘔吐や血尿、眼振や血液検査の値が悪くなったりと、時々不安定になるので、東洋医学的なアプローチができないか相談にいらっしゃいました。
この子は、調子が悪くなるとむくみ、体の冷えがでるようで、なんとなく元気がない、慢性、これらから「腎気虚」「脾気虚」「痰湿≒水湿(時々「湿熱」)」と診断しました。多飲多尿は「腎」、食欲不振や胃腸症状は「脾」、それぞれ気が落ちているので「気虚」、血尿は「膀胱湿熱、腎湿熱」の場合と「気虚」による出血とありますが、この子の場合は「腎気虚」からくると思われました。眼振は「痰湿」と思われました。場合によっては胆湿熱のこともありますがこの子はそうではないと思います。皮下輸液は腎疾患の場合とても重要な治療です。しかし、何らかの原因(主に気虚)によって体の方の受け入れができない、あるいは排泄ができないと水分のアンバランスがおきる、つまりむくむんですね。なので「腎と脾の気」を補いながら、「湿を出す」治療を軸にしました。漢方薬は主に3種類から状況に合わせて1~2種類を選択して、症状に合わせて飲んでいただいています。
鍼治療は猫の場合は頑張りすぎるとかえってストレスになるので、写真のようにお気に入りの座布団を持ってきていただいたり、リラックスできる姿勢で(くねくね動かない姿勢で)、少ない鍼本数(今回は10本)でやるのがよさそうです。幸いNちゃんは受け入れてくれそうです。
あと、大事なこととしてNちゃんは比較的若いことから「腎精虚」が大本にあると思われます。「精」というのは親から授かる命の源と考えられており、親からもらう「先天の精」、食べ物から作られる「後天の精」に分けられます。純血種はどうしても「腎精虚」が多くなると思います。この「精」は食べ物による補給しかできず、基本的には生きて行くことで消費するものです。だから「精虚」の場合は食べ物がとっても大事になりますね。漢方薬はその「精」を少し補給できる力を持っています。
まだ鍼治療は始めたばかりですが、Nちゃんは漢方薬と相性がいいようです。もちろんメインドクターの先生から西洋の治療をしっかり行っていただいており、さらに自宅での献身的なケアをしていただいているのでこれができるのです。偏った治療はできるだけ避けたいと思います。

最後になりますが、猫ちゃんは薬の代謝などが他の動物と違ってとても独特です。ですので、漢方薬の相性などもまだわかっていないことがたくさんあります。残念ながら日本ではまだ未認可の治療になりますので、治療はよくご相談しながら思わぬ副作用を出さないように進めていくことになります。

もしこちらへの来院に興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、必ずかかりつけの先生に一声かけてからご相談いただけるとより安心かと思います。
長くなりましたが、少しでも良い治療ができますように…。