ハートにも漢方

みなさんこんにちは。
まだまだ寒いですが、少し日が長くなってきましたね。
インフルエンザは大丈夫ですか? 自分は冬の真っ最中は風邪をひかないのですが、なぜか3月終わりになると声が全くでなくなるほどの大風邪をひきます。
人も動物もある季節やある時期に体調が悪くなることがあります。例えば低気圧が来ると頭痛や関節が痛くなるとか。
動物の場合は春先におなかを壊すことがよくあります。
中獣医学ではこれらを『外因』とか『邪気』といいます。
『風』というのも邪気の一つで、『風邪(ふうじゃ)』といいます。一般的には「かぜ」と読みますね。
少しおおざっぱな説明です。風邪(ふうじゃ)は体の表面にとどまり、寒気や発熱などを起こします。


さて、今日のご紹介はN市ココちゃん、上目遣いが得意な控えめなキャバリアさん。飼い主さん見つめてます^^;
この子は年齢がわからないのですが、訳あって今の飼い主さんの元へ迎えられました。
10歳以上でしょうか、とっても静かで性格もおしとやかです。
主訴は咳。うちの犬も咳で苦労しました。でもこの子の場合は心臓も関係していそうです。
心臓の音が正常ではありませんでした。やや強めの心雑音です。
普通の診察と、中獣医学的な診察をまずさせてもらいました。
中獣医学的な診察では脈は非常に沈んでいて弱々しい『沈、虚』、舌はとっても淡い『淡、やや紫』でした。
また体は痩せていてとっても冷たく、特に四肢は切ないくらいに冷たかったのです。
これはお部屋が寒いとかそういうのではなく、人間でいういわゆる冷え性、中獣医学的には『寒』の症状が強いのですね。
西洋学的には心臓の循環が悪いのかもしれません。
性格が静かなら問題はないのですが、疲れの症状である『気虚』や疲れ+冷えの症状である『陽虚』によって活力がなくなっていたのかもしれません。
まとめると、心の気が落ちた『心気虚または心陽虚』、痩せていたので『脾気虚』、高齢で慢性は『腎虚』、肺の問題は『肺気虚』ということになります。
『証』の多さから体調の複雑さがうかがえます。
その後心臓の検査をさせていただき、咳の原因は「僧帽弁閉鎖不全症」だと思われます。しかしながら、以前は心臓の薬だけでは咳は改善しなかったとのことでした。そこで高齢の慢性咳では慢性気管支炎からである可能性も考えました。
これらの区別は時に難しいことがります。ですので最初は心臓の治療を中心に、気管支炎のためのケアも行いました。

治療ですが、まずやっぱり心臓は西洋薬を優先で行います。いろんな考え方があると思いますが、私の場合心臓病や癲癇などはまず西洋薬を最優先にします。
それから体質を補う意味で漢方薬と鍼を考えます。この子はとても虚弱で、一番問題なのが『心気虚』ではあったのですが、中獣医学の鉄則として、『脾気虚』がある場合にはまずこれを治療します。それから主たる『証』を治療します。
心臓の西洋薬を数種類を中心に、『脾気』を補い、体を温める漢方薬を選びました。まずごく少量です。

その後、ココちゃんは治療開始1週間で咳が減り始めました。体がとっても暖かくなりました。
西洋薬と漢方薬でとっても快適そうになりました。
その後気管支炎のお薬はやめて、心臓のお薬はそのまま、漢方薬は心臓を補助する漢方薬に変更して治療中です。
心臓を補助する、というと強心薬みたいなイメージですが、そうではなく、体を温めて『気』と『血』を補いながら巡りをよくする、という漢方薬です。
漢方薬で体調が整うと前は効かなかった西洋薬がよく効くようになることがあります。漢方薬が体をサポートして、結果お薬が効きやすくなるという優しい効果ですね。

ココちゃんは相変わらず性格はおしとやかですが、今はとっても快適そうに明るい顔で来院されます。
漢方薬を勧めて本当に良かったと思いました。

ココちゃんますます元気になりましょうね!

2月と3月の臨時休診のお知らせ(追加)

皆さんこんにちは。
今日はとっても天気が良く、暖かかったですね。
にもかかわらず、体調の悪い子が後を絶たず、毎日毎日心配しております。
それにしても変な天気ですよね。雪も積もらないし、凍る日があったり、雨の日があったり。
インフルエンザや風邪も流行ってますね。
体力が落ちた時には漢方薬がおすすめです!

さて、今日は臨時休診のお知らせです。

2月16日(土) 休診

3月2日(土)  午後休診

となっております。
大変ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

2月の臨時休診のお知らせ

みなさま、年が明けましたね。
今年もよろしくお願いいたします。
風邪などひいていませんか?
雪が何だか変な感じに降ったりやんだり。
あとでドカーンと来なければいいですね。
降らなければ降らないでさみしいので毎日均等に降ってほしいです。

さて、2月の臨時休診のお知らせです。

2月1日(金) 午後休診

2月2日(土) 午後休診

となっております。
ご迷惑、ご不便をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

冬も本番のせいか、動物も体調を崩しています。
こじらせてしまうこともあるので、お大事にしてくださいね。

12月のお休みと年末年始のご案内

みなさんこんにちは。
12月になりましたね。あと少しで2018年も終わりですね。
こちらもいろいろありましたが、皆さんはどんな1年でしたか?

 

今日は12月の臨時休診のご案内です。

12月10日(月)     臨時休診
12月29日(土)     午後休診
12月30日~1月3日 休診
1月   4日(金)~     通常診療

上記のようになっております。
ご不便をおかけいたします。よろしくお願いいたします。

 

寒さもいよいよ本番、寒がりの子たちのためには1日を通して暖かい環境が必要です。
火事や事故にはくれぐれもお気をつけの上、暖かい環境を用意してあげてくださいね!

腎虚と脾気虚と肝血(陰)虚 そして虹

みなさんこんにちは。
虹ですよ、虹! 外見たら大きな虹が。

虹だけでもラッキーだなーって思いますが、つなぎ目のない大きな虹はお得な気分です。
自分だけでしょうかね?

ここ数日寒いですし、変な雨も降ってますね。昨晩もう「あられ」も降ったみたいです。
思い出すのは去年のあの雪。
あそこまでの雪はいらないかな…。

さて!今日はK市のM先生ご紹介のクッキーちゃん、なんと16歳8か月!


顔がかわいいので若く見えますね。
足を引きずる、とのことでM先生の紹介でいらっしゃいました。
確かに歩き方はゆっくりで後肢がヨタンヨタンしてますね。そして筋肉も少ないです。
でも食欲はよく、目つきもよかったです。
中獣医学(東洋医学の一つ)では診察室に入る前から診察が始まります。
待っているときの姿勢、声やにおいとか周りの動物への反応、そして、目つきなどを見ます。
何を見ているかというとその子の「気」を見ます。
クッキーちゃんは足取りは悪かったですが、目つきがよくおやつもよく食べてくれました。
こういう子は鍼や漢方の治療の反応がいいとされています。
専門用語で「神(しん)」といいます。精神の神ですね。ちなみに「精」という用語もあります。

クッキーちゃんは診察とカウンセリングの結果「腎虚」「脾気虚」「肝血(陰)虚」と考えました。
今までになくどうしてこんなに診断の数が多いかというと、まず高齢の子はほとんど「腎虚」です。
そして、筋肉の減少は「脾気虚」。靭帯の弱りは「肝血虚か肝陰虚」なのです。
最初四肢がとっても冷たくて、冷えの症状が強かったです。なので最初は「肝血虚」だったと思います。
まずこの3つに焦点を絞り治療を開始しました。

K市の子はカメラ目線が得意^^???
いいかっこで立ってますね。見えにくいですがほかの子より少なめの本数で鍼をしています。
なぜかというと16歳のため、たくさん鍼をすると負けてしまうかもしれなかったからです。
鍼は基本的には安全です。ですが、高齢の子にいきなりたくさんの鍼は刺激になろうかと思います。
ですので、最初はほんの10本程度使用しました。
腎虚、脾気虚、肝血虚の基本中の基本の経穴を使用して、漢方薬は体をやさしく温めて背中をしっかりさせるものを使用してみました。
漢方薬もごくごく少なめ、これも同じ理由。体をびっくりさせないためです。
1週間後にお話を伺って治療の方針が間違っていなければ、徐々に鍼の本数を増やしたり、漢方薬を増量したりします。

そして体があったまってくると今度は「肝陰虚」のサインが出てきました。
「陰虚」というのは体の中のクーラーの調子が悪い状態、つまり「ほてり」が出てきます。
犬だとパンティングといって「はあはあ」と呼吸をする状態で体が熱くなっている状態です。
そこで漢方薬を背中をしっかりさせる目的は変えずに体の「気」と「陰」を補う漢方に変更しました。
日によって疲れていたり、足取りが悪かったりしましたが、おおむね治療への反応は良好です。
そして治療を重ねるうちにクッキーちゃんは診察室に自分から寄ってきてくれるようになりました。
鍼治療が好き、と思ってほしいですが、おそらくオヤツが…ほしい…多分。
いやいいんです、病院が嫌いでさえなければ(笑)
鍼治療中のきょろきょろ(オヤツを探してる)仕草もかわいいですよ。

こっち向いたり?

あっち向いたり…(オヤツどこ)(笑)

クッキーちゃんはいいお年の取り方をしています。
いいお年の取り方というのはできそうでなかなかできないものです。
中獣医学はよいお年の取り方に協力できます。

クッキーちゃん、ますます元気になりましょうね!